ビタミンDと免疫力
 
 ビタミンDが骨の成長に必要であることはよく知られていますが、近年の研究で、他にもビタミンDの健康に対する様々な効用が明らかになっています。

 中でも冬場とくに関係があるのは、免疫力に対する効果です。ビタミンDには細菌やウイルスを殺すタンパク(抗菌ペプチド)をつくらせる働きがあることがわかっています。
 ビタミンDは、食事から摂取する以外に、紫外線が皮膚から吸収されたときに体内で合成されます。ですので、紫外線が減少する冬場はビタミンDの生成が減少することも、風邪やインフルエンザにかかりやすくなる一因にもなるようです。
 
 アメリカ・カナダの食事摂取基準量では、成人に対して推定平均必要量を10μg/日、推奨量を15μg/日と定めています。厚生労働省は2010年版の日本人の食事摂取基準で成人の必要量目安を5.5μg/日としていましたが、2019年2月の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の報告案で、18歳以上の目安は男女とも8.5μg/日とひきあげています。また、日本人において、ビタミンDの欠乏している人は20%台、不十分な人は成人の半分以上いるというデータがあります。

 ビタミンDを多く含む食べ物としては、きくらげなどのキノコ類、鮭、内臓ごと食べられる魚類でしらす干しやししゃも、ツナ、オイルサーディン、牛レバー、ヨーグルト、牛乳、卵黄、などがあります。
 とくに冬季における日照時間の少ない地域に居住する人、戸外での活動が制限されている人、高齢者などでは、意識して食事からビタミンDを摂取することが大切になってきます。